Home > 活動報告 > 党活動 > 小沢代表、小選挙区制度と政権交代、二大政党政治の未来について語る

小沢代表、小選挙区制度と政権交代、二大政党政治の未来について語る

2013年8月22日共同通信社より小沢一郎代表がインタビュー取材を受けました。
インタビュー要旨は以下の通りです。


【インタビュー要旨】

Q. 政治改革を掲げた衆院選から今年で20年、この間を振り返りたい。昨年の総選挙・今回の参院選で自民党一党優位の多党制になったようにも見えるが、今後の政党政治も見通していただき、まずは20年間を振り返って、どの様に総括されるか。
A. 二度も続けて政権交代したことは良かった。二大政党的な形で政権交代したのは、小選挙区制度にしたからだ。その点においては大成功だし、国民も「ああ、こういうものか」という認識が、きちんとできたと思う。その点では、間違いではなかったと思う。
Q. 選挙制度改革について。
小選挙区を入れた目的はやはり、金のかかる政治と選挙を無くすためだった?
A. マスコミも政治家もそう言うが、それは俗論で間違っている。選挙制度がどうであれ、金をかければかかるし、かけなければかからない選挙になる。そんなレベルの話ではない。

アメリカを見なさい。600億、700億と大統領選挙にかけている。それをいいとは思わないが要は、投票を獲得するために金銭で有権者の歓心を買おうと金銭供与を行い、授受・買収供応するような、そういう類の金の使い方はやってはいけませんよという意味での、「金かけてはいかん」ということ。

英国にも腐敗防止法ができたのは買収供応がひどかったため、厳しい選挙法を作って国民の意識を変え、今では、基本的に本人(候補者)は自分の金を使えば数百万かかるのが基礎的な選挙費用だろう。

選挙制度の改革というのはそんなレベルの話ではない。民主主義は、政権がいいかげんな政治をすれば、常に他の野党にとって代わられるという緊張感が政治を良くするということであって、そのためには日本のような、まだ民主主義が定着していない社会では、中選挙区制、比例代表制では絶対、政権交代は起きない。悪く言えば談合になってしまう。

日本のように一度、政権を取ってしまうと、完全に政権党がずっと政権を担うというのが、中選挙区制である。日本は半世紀代わらず、その典型的な例だった。半世紀も代わらない長期政権政治の状況なので、どうしても政権交代可能な選挙制度に変えなくてはならない。それが小選挙区制だったと。ということで僕は先頭に立って推進したし、そしてその結果は、制度としては成功している。
Q. 今の選挙制度は、このまま続けていくのがいいと?
A. 日本にとっては良い。イギリスでさえまだ小選挙区制を採用している。日本は当面この民主主義、政権交代と政治の緊張感を維持するという意味において、まだまだ日本は小選挙区制でお互いに切磋琢磨してやっていく、という事が必要だと思う。
Q. 二大政党制が、目指されていた道なのか。
A. その一つがこけたから、ダメだったのだ。いいかげんな嘘を言って(民主党が)こけたから。
だけど選挙制度が小選挙区制だから、国民に選択肢を(与え得た)。国民が期待した(民主党への政権交代という)選択肢が、もう、あまりにも期待外れだったため(その後の選挙では)投票に行かなかった棄権票が随分あった。自民党票は変わらず、野党はバラバラ。自民党が固定した一定の票で、これも小選挙区制だからだが、大量の議席を取ったというだけの話で、これは受け皿さえできれば、また自民党がいいかげんな政治をすれば、すぐひっくり返る。

だって、4年前民主党が政権取るなんて最初、誰も思ってなかったではないか。それがどんどん勢いづいて、自民党300議席が100いくつに激減した。いつでも政権は交代しうる。そういう制度にした。ただ、選択肢を作ってあげないと、政権交代する対象が国民になくなってしまう。これが最大の問題だ。
Q. 1票の格差とか、選挙制度をどうするべきかという議論もあるが、それは小選挙区の範囲内で比例を減らすなりして対応すべきだというお考えか。
A. 1票の格差と選挙制度は別問題。1票の格差解消はちゃんと解決しないとだめだ。自動的に定員の線引きをやるのが一番公平だ。それでは都会だけ大きくなるというが、それは政権の政策次第で地方でもっと住めるようになれば地方(の人口)は増える。増えたら(議席を)増やせばいい。シンプルで簡単な話。アメリカの下院は5年毎で全部自動的に交代させる制度。そうすれば党利党略なんていう低レベルでなく、自動的に変えられる。

もっとも政権交代ができやすいのは単純小選挙区制。比例は俗にいう小政党も拾うということ。本当は、政権交代に最も効果的なのは単純小選挙区だ。
ただ、小政党も加味しろというのも一つの心理だから、比例制度を入れて悪という意味ではない。誰でもわかる明快な論理だろう?誰でもわかるように、政治家は言わなければだめだ。
Q. 本来は一院制がいいと?
A. 一院制とは言わないが、役割が、機能が、同じものを二つ置く必要はない。戦後の憲法制定の時にも議論になったが、参議院は、このままでは同じではないかと。イギリスでもドイツでもフランスでも実質上、一院だ。機能分担がきちんとできていれば人数は問題ではなくなる。イギリスは10万人に1人だから、6000何百万で600何十人下院議員がいる。(中略)
Q. 二大政党しか勝てなくなると、どうしても選挙に出たい人間は、どちらかの政党でないと事実上出られなくなって、主義主張が自民党に近くても民主党に行くとか、そういう人も出てきた。そういう小選挙区制度の弊害はあるのか?
A. プラスマイナスもちろんある。何の制度だって人が考えることだ。政権交代を半世紀もしなかった非民主的な日本国において、民主主義を本当にやるためには政権交代を、それが民主主義のもっとも大きな機能だから。
それをメインにすれば小選挙区制以外にないということになる。何に価値観を、判断の基準を置くかということ。これも単純な議論だろう?
Q. 小選挙区制をこのまま続けていけば、国民の質も上がるとお考えか?
A. それは分からない。マスコミの質が上がれば、国民の質も上がるかもしれない。国民一人一人が自分で考え自分で判断して、自立した市民、自立した国民となり、その中から代表を選んで政治を行うのが民主主義だ。

小選挙区制度を日本に導入したことによって、半世紀以上、政権を自民党以外にないと思っていた国民が政権交代させたのだ。『俺たちが選挙に行けば、変わるのだ』と、そういう意識を4年前に持ったということが大きい。そういう意識はずっと頭の中に入ってると思う。棄権するという行為を決していいと思わないが、特に棄権した人たちは、変わり得ると思った政党が出てくれば投票率は上がるだろう。1000万票、ほぼ野党の方にいったならば、各選挙区3万票以上だ。我々すぐにひっくり返る。そういう雰囲気になれば、もっと増える。多分、その意識は国民の頭の中に随分入ったと思う。ただ、受け皿が分散して、小選挙区制であるが故に議席が偏ったというだけだ。
Q. 今は二大政党制が結果的に崩れているが、これは短期的なものだと考えるか?
A. (短期的に)しなくてはならない。多分、国民の意識は進んでいると思う。やはり強大な自民党の政権が変わったという事は、大きな事実だから。
Q. 当初20年前に小沢さんが先頭を切って政治改革を実行して目指した世界というのは大体、自分なりに描いたものが実現できたか?
A. 基本的にはね。民主党がもう少しまともだったら、うまくいったんだよ。
Q. 小選挙区というのは、多数決の原理が明確に出ると。
A. 選挙で一票違えば落選・当選となってしまうんだから。当たり前の話だ。
感傷をそこにいれる理由はない。情緒論と政治を、ごっちゃにするからだめなんだ日本は。
Q. 自民党一強になって、野党再編になる?
A. 再編でなくて、自民党に代わって政権を担当しうるグループができたなと国民が思うようなグループを作ることだ。そうでなければ、いくらやってもだめだ。
Q. 今の状況は主義主張がバラバラすぎて、細川内閣の時は連立だったが、似たような状況に陥ってるようだ。
A. みんな人間そうだが、日本人は特に、もうどうしようもなくなるまでなかなか気が付かない。動かない。
本当にふんづまりになって、どうしましょうという所までいかないとだめかもしれない。

繰り返すが、国民の意識は割りあい政権交代で進んだから、君らの世論調査でも半分以上が受け皿や再編づくりを望んでいるだろう?前はそんな意識はなかったはず。君らの調査で望んでいるということは、その調査網に全然引っかかっていない有権者も、もっともっといるということだ。

相当多くの有権者が、自民党一党でまたずっと続くのは、誰も望んでないということ。
そういう意味でも、政治改革は前進しているといえる。
Q. その理念、考えられているキーワードのようなものはありますか?
A. 具体的な話をすれば、今、問題になってる原発。ずっと前から言ってるのに今になって、渋々だけど大変な事態だというのが、ようやく分かってきた。君らも分かっただろう。ひどくなるぞ、これ(原発問題)は。後はもう、手に負えなくなるぞ。
あるいはTPP問題。もちろん憲法の問題であってもいいが。そういう国の仕組みや国の存亡に関わるような基本的な問題での、一定の合意を持った集団(として、まとまるべき)。
Q. 参院選で大きく負けて、これからどの様に反転攻勢し、党勢回復に努められていくのか?
A. 早々と選挙終わったばかりで、すぐに、どうこうというわけではない。だけど国民の意識がそうなっているから、国民から求めるよ、多分。(状況が)もっとひどくなってみなさい。アベノミクスの化けの皮がはがれたとか、原発ももっとひどくなって、TPPもアメリカに押し込まれて…どうなる?その時になってギャーッと言っても知らないぞと、言ってるのだ。これだけ(警告を)言い続けてきても、君らは自民党に入れたではないかって。時々言うんだ、面と向かって。自民党選んでるのだから、今頃ぶつくさ不平言うなって。民主主義とは、そういうものだ。
Q. 原発やTPPなどの危機が目の前にある時にもう一回、逆に受け皿になるということか?
A. 国民の方から出てくるのではないか。
政治家の集団は、ただもう自分の目先の利害ばかりでごちゃごちゃ。西郷南洲遺訓を読んでみなさい。地位がほしい、金がほしい、名誉がほしい。そんな連中では天下の大業は成し遂げられない。だから政治家サイドから積極的に、きれいにうまくいくという事は難しいと思うが、国民サイドが「野党は、何してるんだ」と、「自民党も、何してるんだ」というような雰囲気が出る可能性が大きい。まあ、状況の推移を見なければわからないが。
Q. その時に、小沢さんが旗振り役を務めるという?
A. 私はもう、ゆっくり。私は人事を尽くして天命に遊ぶという、左翼の哲学者の言葉だそうだけれども、天命に従うとか、天命を待つとか言うともの苦しげだろう?それじゃだめなんだ。人事を尽くして天命に遊ぶと。
だから、今度の選挙だってこんな状況で勝ってこなかったけれども。そんなことは分かり切っていたけれど。やはり、だからといって遊んでちゃいかんのだよ。やれることはやるということ。
Q. 民主党がやはり、あまりにも国民の期待を裏切ったからだと、僕は思いますが。
A. それはそうだ。それが一番大きな原因だ。
Q. 非常に期待が大きくて。街頭を聞いていると、もうみんな「俺は入れたのに」って人が、非常に多い。
A. そうだ。本当にそうだ。それは頭に来るのも、本当に無理がない。マスコミのネタもこれからは不足することはないだろうから。いっぱい色々な問題が出てくるような気がする。
Q. 民主党への失望の話になったが、結果的に国民の期待に民主党が沿わなかったことになったが、その根本的な原因は何か?
A. 政権を取るだけの勉強と意識がなかった。自分たちの言ってることを全然理解していなかった。官僚主導から政治主導だなんて一生懸命言っても、自民党より官僚主導だったではないか。国民から見れば、「何言ってんだお前ら」ってなるのは当たり前だ。修業が、研鑽が足りなかったうちに権力取ってしまったわけだ。勿体ないことをした。残念なことをした。まあ、しょうがない。
Q. もし、また政権を担う、自民党に代わる政権を担うとなったら、同じ轍は踏まない?
A. ようにしなくては、ならないな。そういうリーダーを選ばなければいけない。私だって別に役人を嫌ってるわけではない。だが、やはり官僚は、どこでもそうだけど組織維持というのが先に立つから。会社だってそうだ。みんなそうだ。農協も医師会も、なにもかも全く筋道の通らないことをやっている。自分の組織を維持することが先決に。これが強すぎるんだ、日本は。どこの世界でもあるのだが、それが先に立ちすぎてしまう(のが日本社会だ)。